記憶力向上のコツ~勉強×運動、ときどき食事~

受験生の食卓~心とからだをめぐる栄養コラム~
記憶力向上のコツ~勉強×運動、ときどき食事~


皆さんは一日何時間勉強していますか?

多い人で合計10時間以上座っているのではないでしょうか。

受験で良い結果を出すために長時間の勉強の積み重ねは必要ですが、実は勉強の効率を上げてくれるものがあるんです。



それは運動と食事です!!


今回は記憶力向上に役立つメカニズムをご紹介していきます。

記憶のしくみ

勉強で得た知識を記憶するために必死に働いている脳。

このとき、脳が単体で記憶を蓄積しているのではなく、ニューロンやシナプスのネットワーク、分子、たんぱく質などが複雑に働く『システム』そのものが記憶として存在しているそうです。

参照「脳とは「記憶そのもの」だった」

    ・ニューロン‥‥ 情報をやり取りする神経細胞。
    ・シナプス ‥‥‥ ニューロン同士の接続部。
    ・分子 ‥‥‥‥‥ Cbln、GluD2などシナプス形成に関与する物質。
    ・たんぱく質 ‥‥ BDNF(脳由来神経栄養因子)。神経細胞の発生、成長、維持、再生を促進する。記憶を司る海馬に多く含まれている。


図:ニューロンとシナプス、海馬

運動と記憶の関係

運動をすることで、脳からはさまざまな物質が分泌されることがわかってきました。

    ・BDNF ‥‥‥‥‥‥‥ 認知機能向上
    ・ノルアドレナリン‥‥ 集中力や記憶力を高める
    ・セロトニン ‥‥‥‥‥ 精神を安定させる
    ・ドーパミン ‥‥‥‥‥ やる気が出る、集中力を高める


これらの物質は脳を活性化させ、勉強の効率を上げてくれるだけでなく、こころの安定にも深く関与しています。
その他にも、運動することで血流が良くなり、豊富な酸素と栄養を脳に運ぶことができます。

反対に、座りっぱなしで血流が滞っている状態が続くと、認知能力や集中力が低下して学習効果が低下する原因になります。

1時間に1回はトイレに立つか、軽くストレッチをすることをお勧めします。

教育大国フィンランドで見た運動×学習

世界でもトップクラスとされている教育大国フィンランドの小学校で目にした、『運動×学習』の工夫をお伝えします。

休み時間は必ず全員が外遊びに行く

-20℃以下でなければ基本は外へ。教室の鍵まで閉めるのだとか。

イスにバランスパッド、バランスボールを使う

こちらは単純に学習効果を上げるためだけででなく、落ち着いて座り続けることが難しい子どもたちに、いかに集中できる環境を作れるか考えた結果とのこと。

トランポリン

計算問題など単純な課題の定着に最適とされていて、問題を解いた後にトランポリンを飛びながら計算問題にチャレンジするそうです。



どうしたら個々人にとってより良い環境を整えられるか?を学校だけでなく、家族、本人を交えて話し合いをするそうです。教育大国フィンランドならではの見習うべき良い習慣です。

おすすめの運動

何よりも大切なのは、どんな運動をするかよりも「続ける」こと。
自分自身の生活環境に取り入れやすい運動から挑戦してみましょう。

ラジオ体操(第2まで行うと約10分)

場所も取らず、新しく覚える必要もない。全身を動かすことができて、本気でやるとじんわり汗をかくこともできます。

さんぽ(20分)

少し息がはずむ程度のスピードで行うと良い。背すじをピンと伸ばして、自然な歩幅にすると腰や膝の関節への負担も小さくなりますよ。

筋トレ(10回1セットを基本に)

スクワットなど、主に下半身をメインに使うトレーニングがおすすめです。太もものように大きな筋肉を使うと血流が一気に良くなります。

また、腕立て伏せのように上半身メインのトレーニングは実施しても構いませんが、あまり熱心にやりすぎると鉛筆を持てないほどプルプル震えてしまうのでほどほどに。

その他

ヨガや太極拳など、呼吸を取り入れながらゆっくりと行う運動や、ラダートレーニング(細かいステップ運動)も効果があることがわかってきました。



飽きないように心身の状態に合わせて行うのもいいですね。

記憶力向上に役立つ栄養素と食事方法

炭水化物(糖質)

脳の唯一のエネルギー源とも言える糖質は絶対に抜いてはいけません。

このとき、ジュースやスイーツ(お菓子)に含まれる砂糖は血糖値を急上昇させたのち急降下する『低血糖(冷や汗、動悸、手足の震えなどの症状が出る)』を招く恐れがあるので、ごはんやパン、麺類、シリアルなどから摂るようにしましょう。

ビタミンB1

糖質をエネルギーに変換するために必要な栄養素がビタミンB1

糖質がエネルギーに変換されないと、集中力が続かなかったり、疲労がたまったりします。また、太る原因にも。
豚肉や玄米、たらこ、豆類に多く含まれています。

DHA(ドコサヘキサエン酸)

青魚(サンマ、サバ、アジ、イワシなど)に多く含まれるDHAは、脳神経の再生や脳細胞の活性化に役立ちます。




上記3つの栄養素は、偏らずにさまざまな食材を食べることでほとんどがカバーできます

勉強も運動も食事も『総合力』と『バランス』がとても大切

自分自身に適したバランスは何なのか、試しながら身につけていきましょう





次回のテーマは「食事とこころ」です。
更新は11/19(金)を予定しています。
どうぞお楽しみに!


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text by後藤優子/Yuko Goto
プロフィール:スポーツ栄養士×アスレティックトレーナー。ジュニアからトップアスリートの食事サポート、調理イベント、子どもの食育セミナーなどを行う。東京を中心に活動中。アイドルとカレーが好き。



後藤優子さんのコラム⇒「食×スポーツ(人生を豊かに。マルゴトキカク。」