本当に必要?ダイエットを正しく知ろう!

受験生の食卓~心とからだをめぐる栄養コラム~
本当に必要?ダイエットを正しく知ろう!


みなさんはダイエットに興味がありますか?




自分の体型を気にしていますか?



私は小中学生の成長期真っ盛りの頃、太りたくない一心で食事量を減らしていたことがありました。そのせいでお腹が空いておやつの量が増え、結果的に太ってしまいニキビも増えて哀しい小中学生時代を過ごしました。

そのようなことにならないように!

今回は、成長期の正しいダイエットの知識と、成長期に過度なダイエットをすることで引き起こす健康障害についてお伝えしようと思います。

何をもって太っていると判断するの?

まずはお子さまが本当にダイエットをする必要があるのか、判定指標を用いて確認してみましょう。

一般的に成人(高校生以上)の肥満の判定は『BMI(ボディ・マス・インデックス)』を用います。
身長と体重を用いて算出される肥満度を表す指標(体格指数)のことです。

成人用(高校生以上) BMI 計算方法

体重(kg)÷身長(m)²  ※身長はcmでなくmで計算。

※計算サイトはこちら→→→https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228732





日本肥満学会の定めた基準では18.5未満が「低体重(やせ)」、18.5以上25未満が「普通体重」、25以上が「肥満」で、肥満はその度合いによってさらに「肥満1」から「肥満4」に分類されます。

標準値は22ですが、巷で「スタイルがいい」と言われる人たちは20前後の方が多いです。

子ども用(小・中学生) ローレル指数 計算方法

子ども(小・中学生)は『ローレル指数』を用います。

体重(kg) ÷ 身長(m)3 × 10 ※身長はcmでなくmで計算。

※計算サイトはこちら→→→https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228729







ローレル指数が130程度で標準的な体型とされ、115 ~ 145未満程度に収まっていれば標準とされます。


145を超えると「太りぎみ」で、160以上は「太りすぎ」、100未満で「やせすぎ」とされます。


子どもの肥満について、詳しく知りたい方はこちら→→→http://jspe.umin.jp/public/himan.html(一般社団法人日本小児内分泌学会)



「BMI」と「ローレル指数」はどちらも肥満を判定する指標ではありますが、体組成(体脂肪、筋肉、水分など、身体を構成している成分のこと)は無視されているので、「真の肥満」かどうかまではわかりません。



そこで注目したいのが体脂肪率と筋肉量

こちらの図をご覧ください。




同じ体重ですが、印象がずいぶん違うと感じたのでは?

同じ重さでも体脂肪より体積の小さい筋肉の量が多い方が引き締まって見えます。



このことからわかるように、ダイエットとは、極端な食事制限により体重を減らすことをいうのではなく、健康的な食事や適度な運動による「健康的な身体づくり」のことをいうのです。



極端な食事制限が招く健康障害

特に問題となっているのが、女の子のやせ願望やダイエット指向

ダイエットに関しては、「流行っているから」と詳しく調べずに実施することで、鉄欠乏性貧血無月経骨粗鬆症の原因にもなります。

やせ願望は深刻化すると、神経性食欲不振症(拒食症)や過食症を招く恐れがあります。

これらが慢性化(長期化)すると、将来生まれてくる子どもが高血圧や糖尿病にかかりやすくなることがわかっています。

では、どのような食事や運動が健康的な身体づくりに適しているのでしょうか。

健康的なダイエット方法

適正体重を知る

小中学生の場合はローレル指数130前後(例:身長140cm、33~38kg。155cm、45~50kg)
高校生以上の場合はBMI20~22(例:160cm、55~60kg)

が適正体重の範囲です。

とは言え、骨格や体質的に体重が少ない人や多い人もいるので、この数字が必ずしも正しいわけではありません。

風邪を引きにくい、疲れにくいなど、自分の体調としっかり相談しましょう。

3食しっかり食べる

食事の基本的な形は「主食・主菜・副菜」を毎食そろえることに加え、1日に1回果物や乳製品を食べること。(詳しくは第1回のコラム「どれぐらい食べたらいいの?」参照)

理想の配分は主食3:主菜1:副菜2。

最近流行りの「低炭水化物(低糖質)食」は短期間(1週間程度)の減量には効果がありますが、脳や活動のエネルギー源である糖質を制限することで集中力が低下したり、疲れやすくなったり、女性であれば月経が止まることもしばしば。


成長期のうちは避けるのがベストです。



適度に運動する

見た目をスッキリ見せてくれるのは筋肉

受験生はどうしても座っている時間が長くなるので運動不足により筋肉量が減りがち。

室内でも短時間で出来る簡単なエクササイズを3つ紹介します。

◆チェアスクワット(おしり、太もも前・太もも後ろ)




腕は前に伸ばすか胸の前で組む。おしりを後ろに突き出すように膝を曲げていき、イスに軽くタッチする。腰が反らないように注意。

10回×2セット~を目安に。

◆フロントランジ(おしり、太もも前・太もも後ろ、ふくらはぎ)




足を大きく踏み出し、踏み出した足で床をしっかりと蹴って元の位置に戻る。上半身が前後に倒れないように注意。

交互に10回×2セット~を目安に。

◆トランクローテーション(体幹、背中、二の腕)




四つばいになり、片方の手を耳のあたりに添える。勢いをつけずに肘から上半身を開いていく(肩甲骨を寄せる)。このとき支えているほうの手で床を押す。

片方10回を目安に。




いかがでしたか?

受験もダイエットも正しい知識をつけることがとても大切です。
勉強とともに体と心も一緒に整えていきましょう。


次回のテーマは「運動と食事と記憶」です。
更新は10/20(水)を予定しています。
どうぞお楽しみに!


受験生の食卓~心とからだをめぐる栄養コラム~バックナンバーリンク

☆自分にあった体調管理法を身につけよう~アスリートに学ぶコンディショニング~

☆一日の始まりは朝ごはんにあり ~朝食で体内時計をリセット~

☆食中毒にご注意『暑い日のお弁当づくり』

☆どれぐらい食べたらいいの?『塾に持参するお弁当編』



text by後藤優子/Yuko Goto
プロフィール:スポーツ栄養士×アスレティックトレーナー。ジュニアからトップアスリートの食事サポート、調理イベント、子どもの食育セミナーなどを行う。東京を中心に活動中。アイドルとカレーが好き。



後藤優子さんのコラム⇒「食×スポーツ(人生を豊かに。マルゴトキカク。」