公立中高一貫校 合格へのアプローチ ~ 4年生までに保護者ができること・するべきこと

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公立中高一貫校 合格へのアプローチ ~ 4年生までに保護者ができること・するべきこと

今回のコラムでは、小学校4年生までに親御さんがご家庭でできること、しておくべきことについて書いていきます。


このコラムをお読みになっている段階で、小学生のお子さんの進路についてなんらか考え始めていることと思います。



私立中学への入学となると、早い場合は小学校2年生から塾に通い始めるという方もいます。その場合は通われる塾としっかりコミュニケーションをとって手を広げ過ぎないことが大切です。一方で、お子さんの成長や興味の対象など様子を見ながら考えていく場合、なかなか決めるまでに時間がかかりますよね。



でも、本格的に勉強を始めていないからこそ、やっておくべきことというのがあるのです。


前回のコラムでは「論理的な思考」が合格に必要で、身につけるためには「考える」ことを習慣化することが必要と書きました。



そしてこれは子どもがひとりではできないかも。



そこで必要なのが、考えるときの交通整理の手助けです。

日常の会話の中でさまざまなことを一緒に考えてください。

あくまでも「一緒に考える」です。



教えようとすると、子どもは敏感ですので警戒してしまいます。



大人が仕事に必要な勉強をするならば、面白くなくてもその先に仕事上のメリットがはっきりと見えますが、子どもたちは勉強の先にメリットを感じることはまずありません。

そんな中で勉強をしたいと思うお子さんは非常にまれです。いるとしたら親に褒められるため、認められるためということが多いのです。そのような状況で、いかにお子さんにとっての考える機会を作るかが大切なのです。



そのためにできる簡単なことが「会話」です。


日常のことがらやニュースについて、教え込もうと思わずにちょっと意見を聞いてみる。

「○○のニュース見た?」
というように声掛けをしてみてはいかがでしょうか。



欲張って、読書について声掛けしてみるのもOKです。
と言っても、「この本を読んでみろ」のような感じでは、子どもは動きません。お子さんが興味を示した本を親御さんも読むのです。読んだ上でお互いの意見を話し合ったりするのです。



公立中高一貫校の対策の中で、作文に苦労されている方が多くいますが、作文用紙を前にすると子どもたちは身構えてしまいます。会話の中で要旨をまとめることや意見を出すことに慣れることは、子どもたちにとってハードルがだいぶ下がりますよ。



さまざまなことについて考えることを楽しみ、深く考えることに慣れるためには、遊びや会話の中で「考えることを楽しむこと」が重要です。さまざまなことに興味を持つこと、それを言語化すること、何よりそこに楽しみのあることが「考えることの芽」なのです。


そしてそれを促進させるのに最も適しているのが、親御さんとの対話なのです。


とはいえ、興味を示したものなら何でもどんどん与えてあげればよいわけではありません。

「馬を水辺に連れていけても飲ませることはできない」という言葉があるように、いくらいろんなことを教えてあげようとしても、子どもですから面白いことでなくては話しに乗ってきません。



むしろ親御さん自身が楽しければ、お子さんが乗ってくる機会は増えるはずですよ。



感覚としては「勉強をしないで学ぶこと」です。
興味のあることが見つかったらこっちのもの♪ その際にはどんどん関係することを、大量に話してあげてください。



あ! 重要なことを付け足します。



あくまでも「小学校4年生までに」ですよ。小学校高学年のお子さんに同じことをしようとするのは避けてください。特に反抗期に突入したお子さんに対しては逆効果ですのでお気をつけて!(成長の早いお子さんだと、小4ですでにアウトかも…)



text by吉原 功/Kou Yoshihara
プロフィール:中学、高校入試の受験指導に長く携わり、これまでに数多くの受験生を志望校へと導いている。公立中高一貫校入試の指導経験も豊富である。現在は都内において、自身の教室での指導を行っている。