コロナによる受験事情の変化① ~ 私立中学受験編 ~

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コロナによる受験事情の変化① ~ 私立中学受験編 ~


中学受験が終わりもう少しで2か月が経ちます。まずは受験をされた新中1生のみなさん、お疲れさまでした。受験の結果はみなさん各々にストーリーがあるでしょう。

とはいえ、ここからがスタートです。

大事なことはこれからの学校生活がよいものになるかどうか、よいものにするかどうかはこれからのみなさんの過ごし方次第です。みなさん自身がこれからの中学生生活を素敵なものにすることを祈ります。


さて、今年度の非常に大きなニュースとして「新型コロナウィルス」が挙げられます。

この新型コロナは中学受験において少なからず影響がありました。今まで行われていた中学入試とはずいぶん違った形を強いられたといえるでしょう。
なにせ、みなさんは社会の教科書で多くのページを割いて書かれるような歴史的大事件の当事者になったわけです。今後何年、いや何十年、いやいや百年単位で語り継がれるかもしれません。

そこで、今年度のコラムでは私立中学と公立中高一貫校に分けて、「新型コロナウィルスによってどのような影響があったのか」という点から事後分析をしようと思います。

筆者は東京都内で学習塾をしているため、どうしても東京近郊について片寄ってしまうことはご容赦くださいませ。


「私立中学を受験する」ということに与えた影響

まずは、「私立中学を受験する」ということ自体についてです。

新型コロナウィルスの影響による緊急事態宣言により人々の移動は制限され、経済活動は大きく影響を受けました。そのため授業料などの経済的負担が大きい私立中学校の受験生は減っていくような感じを受けませんか?

しかし、実際には「私立中学を受験する」ということ自体は、あまり大きな影響を受けなかったと思われます。むしろ、公立中高一貫校から私立中学へと志望校を転換した方も多くみられました。

そもそも中学受験をするご家庭は、比較的経済的な余裕があることも一因だと考えられます。(もちろん経済的な影響で受験を断念された方もいらっしゃると思いますし、残念なことだと思います。)

そこで、このような転向の原因を少し考えてみましょう。

私立中学校の受験に転向した方の特徴としては、「大学附属の中堅校」へと切り替えたご家庭が多く見受けられたことが挙げられます。特に日大系の附属中学校や東洋大附属京北などの倍率をみると顕著に表れています。

実はこれは新型コロナウィルスの影響よりもむしろ「大学入学共通テスト」をはじめとする、大学入試制度改革に伴う制度の変更への不安によるものだと
いえるでしょう。センター試験を廃止し、記述式を導入した「共通テスト」は採点の公正性などから形式が変更されたりなどもあり、先が見えない状況でした。

さらに、一昨年からの私立大学の定員厳格化もあり、私立中堅大学の倍率は非常に高くなり、今までならMARCHレベルに合格するような受験生が日東駒専レベルで不合格などの状況も多くみられたことも保護者の方の不安を増大させたと思われます。

新型コロナウィルスの影響があるとすれば、むしろ緊急事態宣言にともなう休校に対し、中高一貫校を含む公立学校よりも私立中学校の方がオンライン授業の導入をはじめとする対策が手厚かったこともあり、それが私立中学校受験へ転向することに拍車をかけたと思われます。

私立中学校を受験すること自体は減らなかったといえますが、受験校選びについては影響は大きいものでした。

不安の中の受験ですから、「安全志向」のご家庭が多かったようです。のちのち難関大学への大学受験を見越した難関進学校の受験ではなく、先ほど書いた「日大や東洋大」のような大学附属を志望するというのがまさにそれです。
もちろん、御三家と呼ばれる最難関中学校を狙うようなご家庭については、そもそも大学入試制度改革すらもあまり関係なかったかもしれません。


新型コロナウィルスが影響した「受験へのモチベーション」

今年度の受験で私自身が一番気になったのは、受験をするお子さん本人たちの受験への動機づけです。

例年であれば文化祭や体育祭、少なくとも学校説明会などに参加することにより、「ここに行きたい」という思いを持つことで、受験を「自分の事」にしていきます。
しかし、そのようなイベントが開催できなかった今年度の入試では、中学受験を「自分の事」にする経験の無いまま勉強しなければならない状況でした。

もちろん、私立学校はオンライン説明会などできる術を駆使して受験生や保護者の方に自分たちを知ってもらう手を尽くしていたとは思います。
また、学校の文化や伝統、先輩などにあこがれを持って受験することもあると思います。

しかし、そのような動機づけがあまり無いままでの受験というのは精神的な成長の機会を逃してしまったように思うのです。

とはいえ、このような状況下では仕方のないこと、冒頭にも書いたように、これからみなさん自身が大きく成長する機会を使うことを願い、1回目のコラムはここまでとさせていただこうと思います。



text by吉原 功/Kou Yoshihara
プロフィール:中学、高校入試の受験指導に長く携わり、これまでに数多くの受験生を志望校へと導いている。公立中高一貫校入試の指導経験も豊富である。現在は都内において、自身の教室での指導を行っている。

※来月更新のコラムは『コロナによる受験事情の変化(公立中高一貫受験編)』をお届け予定です。