勉強の合間に、“職業”について親子で話してみましょう
第15回:勉強の合間に、“職業”について親子で話してみましょう
新学年になって2か月ちょっとが過ぎました。
すっかり受験モードになっているころだと思いますが、
日々受験勉強に一生懸命になっていると、
ときに、”何のためにこんなに頑張って勉強しているのか?”という気分になることはありませんか。
自分で考え、学校の先生や塾、親とも話し合って決めた志望校のはずですが、
本当にこれでよかったのかな、と感じることはきっとだれでもあるでしょう。
特に模試の結果が良くなかったり、思うように成績が上がらなかったりしたときに
虚しさや迷いが生じて、不安になったりするかもしれません。
そんなふうに受験勉強にちょっと煮詰まってきたなと感じたときは、
気分転換をかねて、将来の就きたい職業について親子で話してみてはどうでしょうか。
受験勉強中にそんな先のことまで考えられない!と思うかもしれませんが、
自分はこういう仕事がやりたいから、今頑張っているんだと意識することで
受験勉強のモチベーションも上がりますし、苦しいときの踏ん張りもききます。
近くの未来に悩んだら、少し遠くの未来を眺めてみる。
そんな気持ちの切り替えも、ときにはおすすめです。
例えば夕食のときなどに、親の仕事について話してみるのはどうでしょうか。
●どんな理由で今の仕事を選んだのか
●いつごろからその仕事につきたいと思ったのか
●どのようにしてその仕事にたどりついたのか
●働くことのやりがいや大変さはどんな点にあるのか
子どもの側からインタビュー形式で、
親の仕事についてのエピソードを聞いてみるのもよいと思います。
実際に話を聞いてみると、親が毎日、具体的にどんな作業をしているのか
どんなところが楽しくて、どんなことが大変なのかなど、
職種や肩書きだけではわからなかったことが見えてくると思います。
子どもも自分だったらどうだろうと考えたり、
意見を持ったりすることは勉強とは違う思考を活性化させますし、
受験の話題ばかりで重くなりがちな親子の会話にも少し変化を持たせることができます。
親の方も会話を通して、子供は将来についてそんなことを考えていたんだなと
知る機会を得ることができ、受験を支えるモチベーションにもつながります。
毎日机に向かって勉強していると、新しい出会いや体験の機会が減り、
意識や考え方がひとりよがりになってしまうこともあります。
身近な人の仕事に関する話を聞き、受験勉強の先にさまざまな生き方があると知ることは
視野を広げ、勉強でいっぱいになった頭の中に、少しの余白を作ってくれるはずです。
受験に向けた近い未来と、やりたい仕事についた少し先の未来の自分。
世の中にはたくさんの仕事があることを具体的に知り、
自分がそこで働いていることをイメージすることは、
その手前の学校を選ぶ際にもきっと役立ちます。
話を聞いてもピンとこない、なりたいものが見つからない、もちろんそれでもOK。
今勉強していることが将来につながるかもしれないなと実感することにも
意味はあると思います。
受験後の新しい学校で新しく人と出会い、さまざまな経験をすることで
新たな夢を見つけることができるかもしれませんから、きっと大丈夫です。
受験は、なりたい自分に近づくため、なりたい自分を見つけるための手段と通過点。
ときにはそんなふうに考えながら長丁場を乗り切っていきましょう。
プロフィール
文/野々瀬広美
編集・ライター。生活実用の出版社3社での会社員生活ののち、フリーランスに。暮らしまわり・ハンドメイドのジャンルを中心に取材・編集・執筆などを手がける。編み物とサッカー観戦が好き。図書館司書の資格を持つ。