【第七回】「作文できます」―その作文は応えていますか- ~公立中高一貫校適性検査対策編

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【第七回】

「作文できます」―その作文は応えていますか-
~公立中高一貫校適性検査対策編

このコラムが掲載される11月下旬ともなりますと、みなさん着実に受検の準備を進めていることでしょう。と書いてはみたものの、みなさんの中で、一生懸命勉強をしているのになかなか自信を持てない出題分野はありませんか? 「作文問題」はいかがですか?

教室での作文指導や模擬試験の出題・採点といった私自身の経験から、相当な枚数の作文問題の添削・採点をしてきましたが、この時期でも「作文問題」の準備ができていない人は多い、という印象があります。また、「私、作文得意です♪」という人の作文も、「実は不合格レベル」というものが少なくありません。最も多いのは、設問を深く読み込まず、パターン的に作られた作文。「書きはじめ→体験→まとめ」という判を押したような答案です。作文が得意という人ほどこの傾向が強く(特に女子!)、中にはまるで日記のように体験ばかりがスラスラと書かれているものが多くみられます。もちろんまとめに自分の考えを書いてあるものもありますが、最後に「私はこの経験から〇〇ということを知りました」と取って付けたようにちょっとだけ。一方、「全然書けない!」という人、場合によっては白紙(こちらは男子に多い!) という人も珍しくないのです。いずれにせよ、全体として理数的な問題に比べて作文問題の方が、完成度の差に開きを感じます。

では、合格するにはどのような作文を書くことが求められるのでしょうか。

適性検査の作文問題で要求されるのは、以下の要素が満たされているかどうかだと思います。

① 形式的な要素
② 与えられた文章に対する理解
③ 設問に対する解答

①については、誤字脱字や文末の統一なども含まれますが、それは当然のこと。ここで言いたいのは段落構成(文字数に対応した段落分け、各段落の役割)がしっかりとできているかということです。つまり「論理的な展開」がされているかです。人に伝わる文章という点では「型」は重要なポイント。また、採点者は短い期間の中で何枚もの答案を採点しなければならない(しかも理数分野より採点が難しい)という点からも、読みやすさは大切です。

②については、「作問者がその文章を出題に使うことで、受検生にどのようなことに気づいてほしいと考えているか」です。学校によっては複数の文章が与えられる形式の出題もあります。このときも、複数の文章の中にある共通のテーマに気づけるかが大切です。

そして③の設問。設問分析がきちんとできているか否かで作文の得点は大きく変わります。「何を問われているのか」、そして「設問者の要求に正面から“応えて”いるのか」が重要なのです。自分の体験を書く問題であれば、その体験が与えられた文章のテーマときっちり一致しているか。難しい書き方をすると「与えられた文章から抽象的なテーマを抽出し、それを体験例として具体化させること」となります。いくら流れるような文章で段落分けもできて誤字脱字もなく体験もスラスラ、さらにきれいな字で書かれた答案でも、設問の要求に応えられてなければ合格答案にはなりません。②と③はセットになっており、これらを組み合わせれば「なぜこの文章を読ませ、何について考えてほしいか」という作問者のメッセージが読み取れるはずです。

最近の出題傾向としては、設問の中で問いの後に条件が付けられているものが多くなりました。「2段落構成とし、第1段落では筆者の考える○○について、第2段落ではあなたの考えを……」といった具合です。なぜこのような出題がされるようになったのでしょうか。それは設問者が考えてほしいと思っていること、つまり設問者が皆さんに考えてほしい「メッセージを読み取ったのか」に焦点を当てたいのだと思います。

では、今後みなさんはどのような準備をするべきでしょうか。やるべきことは以下の3点に絞って行うことです。

  1.  志望校の入試過去問題集の演習をする中で、「設問分析」をしっかり行い傾向をつかむこと。
  2. 傾向が変わっても対応できるように、過去に出題されたいろいろな学校の問題で「設問分析」を行い、「何が問われているか」をとことん考えること。そのためには作文問題に特化した問題集を利用するのがよいでしょう(東京学参発行のものでは『公立中高一貫校適性検査対策問題集』シリーズ『作文問題編』)。
  3. 自分の体験が本当にメッセージに対応しているかをチェックすること。これはなかなか小学生にとっては難しいかもしれませんが、自分の書いたものをもう一度しっかり読み返し、書き直しをするだけでもトレーニングになるはずです。通っている塾や学校の先生、家族など大人の協力があればさらに心強いですね。

作文を書く力は一朝一夕でつくものではありません。逆に言えば、「こうやれば簡単!」というテクニックでは答案としては「浅いもの」となってしまいます。それなら、上手くなくてもよいから、作問者のメッセージにまっすぐ応えるトレーニングをすることこそが、合格のために必須の準備と言えるでしょう(もちろん設問の文字数条件を満たさなければなりませんが……)。

 

text by吉原 功/Kou Yoshihara
プロフィール:公立中高一貫校入試の受検指導に長年にわたって携わり、数多くの受検生を志望校へと導いている。現在は都内において、自身の教室での指導を行っている。